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バランススコアカード導入事例 -関西電力-

関西電力の経営管理システム(業績評価制度)の改革は日本における代表的なバランススコアカードの導入事例として多くの書籍で紹介されています。

関西電力のバランススコアカード
関西電力のバランススコアカード

バランススコアカード導入背景
ピラミッド型からミッション共有型への変革

これまで日本の電力会社は地域独占企業として経営がなされてきましたが、2000年3月の電気事業法の改正により他事業の電力事業への新規参入が可能となったことで電力が自由化され電力市場に変化がもたらされました。そのためさまざまな分野において新規参入業者、第三者的供給者と競合・協調が必要とされ、他のエネルギーや自家発電の普及による分散型電源との競合も激しくなり、更なるコストダウンと資産の効率的活用が求められました。

そこで、今までの長期的に振れの少ない戦略に基づき、本部からの指示・命令に従い現場が完全確実に執務を執行する「ピラミッド型経営管理」から変化を先取りした戦略を策定し本部・現場がその戦略を共有することで迅速、柔軟な対応をし、現場が自立的に事業を行なう「ミッション共有型経営管理」への変革を目指しました。

独占企業の特徴として競争企業に比べ経営管理制度の導入が遅れる傾向にあるなかで、関西電力では自由化を前に経営管理システムの見直しを行なうプロジェクトが開始されました。これまでより透明性と納得性の高い業績評価制度の実現を目指し、「成果契約制度改革」が行なわれます。この改革の効果的手段としてバランススコアカードが導入されました。

1998年4月 経営管理システムの現状分析と改革ビジョンの策定関するプロジェクトの開始
1999年4月 PDCAサイクルの詳細化と指標体系の整備をはじめる
「成果契約制度」の改革を推進
2000年3月 電気事業法の改正
2002年4月 成果契約を中心とする経営革新の本格的な運用をおこなう

成果契約制度改革とバランススコアカード
成果契約制度とは、プロフィットセンターの組織長と経営陣が年度開始前に「成果契約」を結びその目標に対する達成度が年度末に評価され、処遇を受ける仕組みです。

関西電力における「成果把握単位」
関西電力における「成果把握単位」イメージ
関西電力の組織形態は、バリューチェーンごとの事業部門(発電・送電・配電・販売) 、管轄地域をエリアで分割する支社・支店・センターとなっており若狭支社と火力センターは組織長と経営陣とのつながりが明確ですが、その他の支店からみると本店内に送変電、配電、販売と2もしくは3つの関連事業があり、ある組織長に対し事業部門長と支店長2人の上司がいる(マトリックス問題)という状況でした。 そこで成果契約制度の導入するために「支社・支店・火力センター」をプロフィットセンターとして位置付け成果契約を行なう単位を明確にしました。

ポイント
「成果契約制度」と呼ばれる所以は「だれが(契約対象者)、どのような成果で(契約内容)、いかなる方法で評価され(評価指標・基準)、そして報いられるのか(成果連動報酬)」を明確に示すという成果主義実現へ向けての思いを込めているからです。

関西電力の事例 成功の鍵
バランススコアカードを経営管理システムの中核に据え、予算、成果把握システム、評価制度、管理会計情報システムなどの関連諸制度を整合させ、さらに組織長と経営陣との間の戦略コミュニケーションを通じて組織風土改革までも視野にいれている。

関西電力の支店における戦略マップ
関西電力の支店における戦略マップ

視点 戦略目標 業績評価指標
財務の視点 企業価値の工場 PCA
各市場分野における売上の拡大 需要開拓電力量
経費削減による低コスト構造の確立 販売電力量当りコスト
最適設備形成を図る フリーキャッシュフロー
顧客の視点 自家発対象顧客への最適エネルギー提供 自家発対象顧客のうち当社の顧客率
業務プロセスの視点 顧客にとって最適な○○の展開 ○○実施件数
自家発検討(導入・リプレース)顧客の早期発見 お客様設備把握率
学習と成長の視点 ○○による総合提案力の強化 目標レベルの達成率

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参考:
「バランスト・スコアカード」 櫻井通晴著
「図解バランス・スコアカード」 松永達也著
「バランス・スコアカードによる業績評価制度の改革」(PDF) 森沢徹著
野村総合研究所ホームページ (https://www.nri.co.jp/)より

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