JAL再生をKPIマネジメントから見た一考察 【blog】

2014/01/09

先日、『JAL再生 高収益企業への転換』(日本経済新聞出版社 大和総研 引頭麻美編著)を読んだ。
JALは、2010年1月に経営破綻し、上場廃止に追い込まれ、企業再生支援機構(地域経済活性化支援機構)のもとで事業再生計画を策定し、稲盛和夫氏を経営責任者に迎え入れ、その後、見事復活し、株式上場を果たした。
JAL再生にあたっては、稲盛和夫氏はじめ多くの関係者の並々ならぬ努力と工夫の成果だと思うが、ここでは、JAL再生をKPIマネジメントの側面から感じたことを簡単に触れてみたいと思う。

KPIマネジメントでは、大まかに会社の戦略は、戦略マップを用いて、シナリオ的に描くことが多い。

例えば、
財務の視点として、売上高〇〇億円、営業利益○○億円、固定費・経費の削減〇〇億円の達成。

顧客の視点として、国際線ASK(有効座席キロ)〇〇座席キロ、RPK(有償座席キロ)
国内線ASK○○座席キロ、RPK○○座席キロの達成。
お客様からのリピートの向上、社内販売売り上げの向上、

業務プロセスの視点として、組織改編、路線別収支の見える化、赤字路線の廃止、ユニットコストの低減、お客様への社員のサービス向上

学習と成長の視点として、JALフィロソフィの確立と教育、リーダ教育、アメーバ教育などがあげられるかと思われる。

上記のようなことを我々はどこへ向かおうとしているのか?また、収益を上げるには、誰にどのようなサービスをすればよいか、そのためにはどんなプロセスが必要であり、何を変革しなければならないか。
また、社員はどのようなスキルを身につけ、成長しなければならないか、経営管理・方針管理に必要なものは何かなど戦略マップを用いて分かりやすく説明できるのではないだろうか。

また、それぞれの戦略目標(KGI、例えば売上高、営業利益)を達成するためには、何(重要成功要因(CSF)をすれば達成できるか?CSFを達成するには、各部門の重要業績管理指標(KPI)は何を管理していけばよいか?などスコアカードを作成し、管理していってはどうだろうか?
毎月のKPIを管理していくことにより、CSF,KGIの達成状況も同時に見えてくると思う。

さらに、各業務のプロセス単位にKPIを設定すれば、より細かくKPIを使って、現場をマネジメントしていくことが可能と思われる。

KPIマネジメントでは、会社全体の方向性を俯瞰するのに戦略マップを用いるケースが多くあるが、社員もまた、戦略シナリオを通して会社の方向性を説明されると自分たちの立場とやらなければならないことなどが明快になってくると思われる。
したがって、会社の方向性を明確に示されることにより、社員のモチベーションも上がることだと思う。

再生前のJALでは、経営と現場との乖離、横組織との連携不可、顧客へのサービスの欠落などが見受けられたようであるが、これらの問題・課題も経営者と各部門の討議、横組織間での討議、部門内での討議などでKPIを設定していけば、課題解決にもなるのではないだろうか?
会社組織では、顧客の視点でのサービス向上は見落としがちになり易いので、顧客に対して、何を、どのようにサービスするか?顧客満足度を上げるためには何をするか?などのKPIを設定すれば、顧客へのサービスの向上も図れると思われる。

KPIマネジメントは、企業再生、成長戦略のシナリオの経営管理ツール、顧客満足度向上のためのツールにも非常に役立つのではないだろうかと思う。

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